血圧と米飯等の因果関係

(昭和50年日本医事新報への質問に答えて)

 

 「問」 血圧と米飯ならびに食塩摂取量との関係について(東京K生)

 「答」 この一見簡単な質問に答えることは容易なことではない。

というのは「血圧」「米飯」「食塩摂取量」また「関係」についてどのような解釈にたっての質問かわからないからである。「食塩のとりすぎや米のたべすぎは血圧に悪い」といわれる一方。「関係はない」という人がいる。一体どうなんだということを聞こうとする質問と常識的に推測するのだが。

 高血圧に対して、「米果物療法」があり、一方わが国では、とくに「長寿」との関係で米のとりすぎの害が指摘されている。

 ここで「関係」という言葉について、疫学者はどう考えているかという点についてふれておかなければならない。詳細は成書とくにその中の「原因の概念」の章を読んでいただきたい。(MacMahonら:疫学−原理と方法、丸善、1972) 

 「因果関係」(causal association)という用語の意味をよく理解するために、2つに範疇間の相互の関係を次のように分けている。

 A.統計的に関連のないもの

 B.統計的に関連しているもの

   1)因果関係なしに(二次的に)関連しているもの

   2)因果関係のあるもの−−−

    1)間接的因果関係 2)直接的因果関係

 そしてこの分類は、ある関係を研究する際、研究が進められていく過程を示している。また疫学的研究は、人口の中でいろいろな問題を考える際、「分母の把握」「分子の選定」また「指標の決め方」が基本的に重要である。このような点を考えると、解答は容易でない。

 「高血圧と食塩の関係」については、すでに本誌2649号に解答したが、「米飯」との関係については系統だった研究がほとんどみつからない。そのいくつかは食塩との関連で解釈されている。 

 しかし「予防計画を展開する上には、どの程度その因果関係が直接的であるかということは、必ずしも重要なことではない」ということも意味のあることと思う。

(日本医事新報,2671,136−137,昭50.7.5.)

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