ビジネス

 

 介護保険が言われたら、「ビジネス・チャンスだ」言った人がいた。

 医療に関係していることがビジネスだといわれると、どうもと思うのは自分だけだろうか。

 ビジネスにあてはまる日本語がないようだが、「事業・商売といって、情熱とか人情とかを切り捨て金もうけの手段だけにし営利を目的とする意味合いが強い」と辞書にあったように感ずるのかもしれない。

 大学にもビジネス・スク−ルが誕生する世の中だ。

「福沢の大先生のお開きなさった慶應義塾 その幼稚舎」から大学卒まで学んだ自分はそれからのがれることができないのだが、福沢諭吉先生だったらどう考えるかと思った。

 「ポリチカル・エコノミ−を経済と訳し」「コピ−ライトを版権と訳し」たのも福沢先生の立案・発意であり、「災難請合の事インシュアランス」の保険事業を紹介し、「授業料と云う名を作った」のも福沢先生ではあるが、「医療」についてはどのように思っていたのであろうか。

 その経済の専門家の加藤寛教授(現千葉商科大学長)が「赤字の3Kとしてコメ・国鉄・健康」を挙げていた(産経:9.1.22.)ときに、健康が入っていたのには驚いたが、最近三田評論(2001.8/9.)に「私の身近の人が多数、政権にたずさわったことはないと思うし、政策もガラット変わって」と書いている。「ただ今内閣占領中」と早稲田の雄弁会の新入生勧誘にあった森内閣から、「塩ジイ」の愛称のある塩川正十郎大臣が「まさに慶應義塾の内閣といえるのである」と書いていた小泉内閣に変わって、「健康」はどのように変わるのであろうか。以前田中角栄総理が「日本列島改造論」を発表したとき、「健康問題はどこで論ぜられるのかと思う」と論じた(毎日:昭47.8.14.)ことがある自分としては今日の「小泉改革」に同じことを思うのである。

 緒方洪庵の適塾に学んだ福沢諭吉先生は「経済商売の如き未だ全く天然の原則によるものに非ず」といい、「窮理のようなフィジカ」「医師なる言葉の語源になったフイジカ(自然学)」にあこがれをもっていた先生だったらどう考えるだろう。

 「 ビジネス(商売)こそ米国のビジネス(なすべき仕事)」と第30代アメリカ大統領が述べたとあったが、医療も経済と見られるようになるのが、戦後50年アメリカに学び仲良くしてきたことの流れの中にあることなのか。(2001.9.12.)

一部日本医事新報,4054,41,2002.1,5

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