【あらすじ】
時と所:架空の時・架空の国
プロローグ(幕前劇)
 悲劇派、喜劇派、叙情派、快楽派のそれぞれの役者たちが、自分たちの主張を叫びながら小競り合いをしている。そこへ10人の道化役者たちがやってきて「皆さん!今から始まる“三つのオレンジへの恋”の芝居をご覧ください!」と歌う。すると中央から布告人が現れ「トゥレフ王は、息子である王子が鬱(うつ)病にかかってしまったと嘆いていらっしゃる..」と告げ退場。道化役者の「始まり〜!」の声で幕が上がる。
第1幕
第1場/宮廷の広間
 トゥレフ王は病気の王子を多くの名医に診せるが、診断結果は鬱病で、皆手の施しようがないと言う。王は側近のパンタロンに王子を救う手立てはないかと相談し、パンタロンは「王子の気持ちを明るくするために..」と道化師のトルッファルディーノを呼び寄せるが、密かに王位を狙っている大臣のレアンドレは「道化師が騒いだのではかえって王子の病状が悪化してしまう!」と渋い顔で反対した。
第2場/悪魔の住処
 不気味な炎と煙の上がる中、小さな悪魔たちが辺りを飛び回る。そこで魔女のファタ・モルガーナと、魔術師チェリオがトランプをしていた。ファタ・モルガーナは大臣レアンドレを守り、チェリオはトゥレフ王を守る者。ゲームはレアンドレに付くファタ・モルガーナが勝ち、チェリオは肩を落としてその場を去っていった。
第3場/宮廷の一室
 大臣のレアンドレが、どうやって王子を消し自分が王位に就くかと悩んでいると、トゥレフ王の姪のクラリーチェ王女がやって来て「もし王子がいなくなり私が王位を継いだら、あなたと結婚して王様にしてあげる!」と、てっとり早く、薬や銃で王子を殺してしまえばと持ち掛ける。(舞台上に先程の悲劇役者たちが現れ叫び出したので、道化役者がそれを追い払う。)2人の視線の先では、王の側近パンタロンが呼びつけた道化師のトルッファルディーノが、楽しい出し物の準備をしている。早く手を打たなければ王子が笑い病気が治ってしまうと焦る2人の前に、黒人女スメラルディーナが現れ「トゥレフ王には魔術師チェリオが付いているので気をつけなさい。けれどあなたには魔女のファタ・モルガーナが付いているので安心です。」とレアンドレに告げた。この黒人女はファタ・モルガーナの召使いだった。3人は揃って「ファタ・モルガーナよ!救い給え!」と叫んだ。
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