【あらすじ】
時と場所:ウクライナのポルタヴァ近郊にあるソローチンツィ村
第1幕 市場
暖かく晴れた夏の日、ポルタヴァの近郊ソローチンツィの定期市では、行商人達が屋台や手押し車にたくさんの品物を並べている。呼び込みをするユダヤ人、野次を飛ばしながら役にも立たない物を売るジプシー達。するとコサックの男達が現れ、ユダヤ人やジプシーを追い払う。そこに色とりどりのリボンやビーズを身につけてパラーシャが登場し「お父さん、楽しくして!」と歌う。父親のソローピィ・チェレヴィークは「よし、小麦と雌ロバを売るぞ」と答える。市の喧騒は途切れることなく、人々の諍いや、気を引きあう男女の会話を飲み込んでいく。性懲りもなく現れたジプシーは「『赤い羊皮』と呼ばれる悪魔に呪われた古い小屋のあるこの場所で、物売りなどやめておけ!悪魔はロバや牛を連れ去り、目をつけられた者は悪魔に変わってしまうぞ」と脅かすが、誰もジプシーの忠告など聞いていない。そこに陽気な若い農夫のグリツィコが小麦を手押し車に積みながら登場すると、恋人パラーシャに愛の告白をし、キスをしようとする。父親のチェレヴィークは腹を立てるが、グリツィコが旧友の息子と知ると、結婚を決めてしまう。彼らは意気投合して早速飲みに出かける。活気に満ちた市場も日が暮れ人々が引き揚げる頃、すっかり酔っぱらったチェレヴィークと友人の教父が居酒屋から出てきて、千鳥足で歩きながら古い歌を歌う。家路に就くチェレヴィークは、勝手にパラーシャの結婚を決めたので妻ヒーヴリャが激怒するだろうと気が重い。案の定ヒーヴリャは激怒し、チェレヴィークを攻め立てる。その様子を立ち聞きしたグリツィコが落胆していると、ジプシーが現れ「もしおまえの牛を売ってくれたら、結婚話をまとめてやる」と提案する。グリツィコは喜んでジプシーと握手をかわし踊りだす。

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