第1場/シャルルマーニュ皇帝の宮殿
宮殿の広間で騎士のドン・ガイフェロスとドン・ロルダンはチェスに興じていた。ドン・ガイフェロスは、自分の妻メリセンドラがモーロ人に捕えられているというのに、そんなことは全く気にしていない様子だ。メリセンドラの父であるシャルルマーニュ皇帝(フランク王国カール大帝)は、そんな彼を見て「妻が危険に曝されているというのに、助けに行かないとは何事だ!」と憤慨し、広間に入ってくるなりドン・ガイフェロスの頭を杖で殴ると、付き人たちと共に出ていった。ドン・ガイフェロスはチェスを放り投げ、すぐさま甲冑を身にまとい、助太刀を申し出るドン・ロルダンには名剣のみを借り、妻の救出に向かった。
第2場/マルシル王の宮殿(サンスエニャ)
捕われの身となったドン・ガイフェロスの妻メリセンドラが、城のバルコニーから祖国フランスの方を見つめ嘆いている。するとそこへ一人のモーロ人が現れ、美しいメリセンドラにいきなりキスをしてきた。《芝居を見ている観客たちも息を呑んだ。》 メリセンドラは驚きの余り叫び声をあげ、偶然その場を目撃したマルシル王(イスラム帝国王)の命により、そのモーロ人は捕えられ、すぐに処罰されることとなった。《口上語りの少年が、モーロ人は証拠の有無に関係なく処罰はすぐに行われる..と言うのを聞いて、ドン・キホーテは「証拠なしに処罰などできるはずがない!」と熱くなる。芝居を中断されては大変と、脇からペドロ親方が出てきてその場を取り繕い、少年の語りは続けられる。ドン・キホーテの頭の中では、現実の世界と芝居の世界がすっかり一緒になっていて、自分も既に物語の中に参加しているのだった。芝居の間中、彼の狂気を思わせる表情が見て取れる。》 
第3場へ
オペラ名曲辞典TOP