第3幕
宮殿の庭。イリアが一人イダマンテへの想いを歌う。そこに王子イダマンテが現れ、父の冷たい態度に絶望した今、死を覚悟して海獣退治をするとイリアに別れを告げる。ここで二人は初めて愛を打ち明け合い、甘美な二重唱を歌う。そこにイドメネオ王がエレットラと共に現れ、改めて王子に国外退去を命じる。どこまでもお伴したいというイリアにエレットラは再びはげしく嫉妬する。その時にわかに宮殿周辺がざわつき始め、民衆が大挙して王に直訴を求める。神官はシドンの町に怪物が出現し、多数の市民が犠牲になっている。ついては海神の怒りをおさめるため生贄を早く差し出してくれと語る。王はやむなく生贄がイダマンテであることを告白する。人々は嘆き悲しみ去っていく。海神の神殿前では生贄の儀式の準備が整っている。その時、遠くで歓声が起き、イダマンテが見事怪物を退治したと伝えられる。しかし生贄の儀式の変更は許されない。白装束で登場したイダマンテは今こそ王の真情を理解したと告げ、死の座につく。イドメネオが剣を振り下ろそうとした、その瞬間。イリアが駆け込み剣の下に身を投げ出し、イダマンテの身代わりになろうとする。突然地震が起こり、海神の声が響く。「イリアの崇高な愛に免じてイダマンテを赦す。イドメネオは退位して、王座をイダマンテに譲れ!」。エレットラだけがこの神託に怒りアリアを歌う。イドメネオはイダマンテとイリアの結婚を神に祈り、人々の喜びの合唱で幕となる。
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