ボリス・ゴドゥノフ
Boris Godunov
ムソルグスキー
Modest Mussorgsky
ロシア1839-1881
初演:1874年1月24日ペテルブルク・マリンスキー劇場
台本:作曲者/ロシア語
演奏時間:プロローグ25分
第1幕42分/第2幕38分
第3幕46分/第4幕46分
合計約3時間17分
概要:
ボリス・ゴドゥノフは実在のロシア皇帝。しかし皇帝になる血筋ではなかった。当初、皇帝フョードルの義兄であったボリスは、あまり有能ではなかったフョードルの摂政として力を発揮する。皇太子ディミートリーが謎の死を遂げ、ボリスによる陰謀説が囁かれるが、他殺であったのかどうかははっきりしていない。その後、フョードルが崩御するとボリスは政務から身を引いてしまい、政治が立ちゆかなくなって困ったロシアの世論はボリスを帝位に就かせようという方向へ流れ、計算通り、ボリスは皇帝の座を手に入れる。皇帝としてのボリスは善政を敷き、ロシア国内は安定するが、それも飢饉の到来で財政、厚生、治安などが一気に崩れ、世論は一転して反ボリスとなる。そんな中、自分は先に死亡したとされるディミートリーだと名乗る者が現れ、ポーランドで挙兵、ロシアに進軍。ボリスはこの混乱の中、没した。この作品は、そのボリスを主題にした大河ドラマであり、若くして世を去ったムソルグスキーの、唯一全曲が作曲者自身の手になるオペラである。プーシキンの戯曲を基に作曲者自身が台本を手がけ、1869年に完成した。しかし、暗すぎる、派手な聴かせどころが少ないなどを理由にマリーンスキー劇場では上演を拒否。そこで、最後のボリスの死のシーンの後に森のシーンを追加するなど、大幅な改訂が行われ、1874年に全曲初演に漕ぎ着ける。81年のムソルグスキーの死後は忘れられていたが、リムスキー=コルサコフの改訂版によってまた脚光を浴びることになる。華麗なオーケストレーションによって、大成功となり、長くリムスキー版で上演された。このリムスキー版は、最後をボリスの死として、ムソルグスキーの初めの版と同じ終わり方にしている。しかしリムスキー版は原典を大きく変えすぎているとの批判もあり、その後、ショスタコーヴィチ版が世に出、他にボリショイ版というものもある。それぞれの版では、各シーンの順序の移動、原典からのカットの長さ、リムスキー版での華やかなアレンジの維持などが違い、どのバージョンで上演、また録音するかで、まるで違う作品となる。
最終更新:20100719
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