《お菊さん上演のきっかけ》
日本橋オペラ2021「お菊さん」公演は、私たちが2018年の「イリス」公演のためにいろいろ資料を読んでいた時、当時国立西洋美術館の館長で、ジャポニスム研究の第一人者である馬渕明子さんの著書「舞台の上のジャポニスム」で「お菊さん」が紹介されていたことがきっかけで実現しました。今回の日本初演に寄せてメッセージを頂きました。

馬渕明子
ご招待ありがとうございました。あのオペラが日本で見られるとは、感激でした。
皆さん、たったの2回の公演のためとても周到な準備をされて、とても楽しい舞台でした。なかでもプリマの福田さんの声の美しさや可憐な演技は素晴らしかったですね。能を取り入れたのも、興味深い演出でした。カタログを拝見すると、本当に細かいところまで調べられて、台本や楽譜を当時の音楽史ときちんと照合しながら跡付けていられる点、とても勉強になりました。メッサジェとプッチーニの関係など、初めて知りました。
2018年にはマスカーニの『イリス』も上演されたのですね。私の本はパリの舞台だけを取り上げたため、『イリス』についてあまり調べなかったのですが、ミラノのリコルディ社で少しだけ舞台のためのスケッチを見ることができました。再演されることがあったら、ぜひ拝見したく思います。
永い間上演されていないプログラムを舞台にかけるのは、本当に大変なお仕事だと実感しました。重ねて感謝申し上げます。
このコロナの中、本来ならたくさんの観客に見てもらいたい舞台でしたが、それでも見ることのできた者は幸せだったと思います。
今後のご活躍をお祈りいたします。
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