「美しい日本!?」のこと(オタク老人のひとりごと39)

 

 前に「美しい日本」に「!?」を付け加えたことについて書いておこうと思う。

 安部晋三総理の所信表明演説に「美しい日本」と述べたことに討論がつづいている。

 前に同じことを書いたといわれる「本」を出されたそうだが、私は読んでいない。

 始めてこの言葉を聞いたとき、この言葉がどこから出てきたかなと考えた。

 私の記憶の中でまず浮かんだことは、亡くなった川端康成さんがノ−ベル賞受賞のときだかに述べた「美しい日本の私・その序説」であった。内容は分からないが、文学賞であり、文学的な「表現」であると思っただけである。

 丁度「私はエピデミオロジスト」と考え、「疫学」とは何であるかを考えていたこともあり、「疫学者」として”美”という言葉をどう考えたらよいかという問題を抱えていた。

 何故なら 1970年にBrain MacMahon & Thomas F.Pughが「Epidemiology・Principles and Methods」をBostonから出版され、すぐ1972年に丸善から「疫学の原理」(金子義徳・額田粲・広畑富雄訳)として出された本の中に、読んだ記憶にのこる言葉があったからである。

 「原因の概念」(Concepts of Cause)の定義の中に・・・(英文も読んだが翻訳によれば)

 「それでは一体何がある種の関係を因果関係(relationships)と考えさせるのであろうか」「”原因”(cause)という単語は抽象名詞(abstract)であり、”美”(beauty)という言葉と同じように、事情が変われば意味も違ってくる」「どのような定義をしても、科学(science)の異なる分野で同じように適切な定義となることはありえない。・・・」と、この言葉が記憶にあったからである。

 マックメ−ンはこのように考えているのだなという思いが記憶に残った。

 疫学はどのように研究を進めてゆくべきかを考えて・・・・今までやった・・・説明にはならないが「!?」を書いたのである。

 今になって考えると研究の記録のみ残っているだけである。

 

 1965年12月アメリカの東へ訪れたとき、ボストンのハ−バ−ドに広畑先生が留学されていた時だったこともあり、「疫学の教授」になられたばかり?のマックメ−ン教授にお会いしたことを思い出す。 大学のそばの「男子だけのクラブ」へ案内されたことも。(20061007)

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