年があけて

 

 「旧ソ連 新は決まらず 年の暮れ」と平成三年を送った年の暮れをまとめた。

 平成四年元旦例年のように各社の新聞を一覧したのだが、今年のキ−ワ−ドは「地球」「民族」「脳死」であった。

 「地球」は今年開かれる「地球サミット」をうけての記事がどの新聞に見られた。

 世界新秩序のなかに「地球環境」「地球温暖化」といった問題の中に「南北問題」とからんでどのように展開されるのか。

 「民族」も旧ソ連の解体、「冷戦構造」から「世界新秩序」の中に、また新たに「民族問題」が各地で顕在化している。

 東西ドイツが統一し、残るは「南北朝鮮」といわれ、ヨ−ロッパがECになろうとする中に、旧ソ連の中で民族問題が火をふき、表面的には昨年の「湾岸戦争」は終結したものの何千年もつづく「宗教戦争」といった「主義・主張」の人々の争いはつきない。

 「脳死」は今年中に「脳死臨調」が結論を出すといわれているのでの記事であった。医学的記事が元旦の新聞記事の中からは殆ど蔭を潜めたのは、われわれの目の前の病気の問題については、「恐怖」の感がさって、癌もそのまま死をいみすることもない時代になったし、脳卒中も少なくなり、心臓病や高血圧も糖尿病も食生活を合理的にすれば予防できそうだと分かってきたが、それでもいずれは人間は死を迎えるし、近所をみても老人が増えてきた。近代医学が生んだ「脳死状態」とか、技術が可能にした「移植」という問題とは切りはなしても、人間の死の問題が極めて身近な問題になってきたと思われる。 

 おまけに日本人は世界一長寿と計算される、GNPもアメリカとならんで世界の四十%を占めているなどといわれると、ちょっと前まで結核だ赤痢だ脳卒中だ、乳児死亡率が高かったことなど忘れてしまっているようだ。

 その中に静かに日本にしのび込んでいるのが、「麻薬」と「エイズ」と思われる。

 「地震 雷 火事 エイズ」といったら現代的でよい表現ですねと云われた。

 「おやじ」の権威失墜のいまの日本にはふさわしい表現ではないか。(4-1-11)

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