喫煙車の提唱

 

 毎日新聞のみんなの広場(昭和62年3月25日付)に「禁煙車より喫煙車設けたら」の私の投書がのったら、この健康ハ−ト欄にも書いてとの注文である。

 日航が禁煙席を50%にして場所を前の方にするというニュ−スを聞いて、ようやく国際レベルになった。「禁煙席」ではなく、いっそ「喫煙席」をつくったらどうか、新幹線なら禁煙車ではなく、喫煙車というように、との主旨であった。

 内容は考えに考え抜いたものなのだが、発想の転換である。

 医師をはじめ保健衛生従事者は、たばこと健康との関係について正しい知識を与え、現にたばこを吸っている方にも、なんとかたばこの害をうけないように支援しなければならないのでだが、あえて「喫煙車」を提唱したのである。その他の場所ではたばこは吸わないのだとの考え方が一般化することを願って書いた。

 自分の健康を犠牲にし、たくさん税金を払ってくれる方のために、と一寸ひにくって書いた。

 禁煙・嫌煙とめくじらをたてる必要はない、と原稿にはあったが、編集の方でカットしてくれた。 

 今から20年前の1966年11月29日J.スタムラ−に会うためにシカゴの衛生部を訪問したとき、部内が禁煙であったことにうたれ、自分もたばこを止める気になったことを思い出すのである。

(日本心臓財団:健康ハ−ト,昭62.4.17.)

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