欠陥車では−−ある事故を推理する

 

 バスを待つ幼稚園児の列に、トラックがとびこんだという悲惨な事故がまたおこった。十日ひるのニュ−スによると、前の車が実際には左折したのに、右折するとの判断をあやまって、あわててハンドルをきりそこね、列の中にとびこんだと説明されていた。

 そこで一つの推理をするわけであるが、前の車は、ウインカ−とブレ−キの電気系統が一緒になっている車ではないか、ということである。運転しているとよくこんな目にあうのだが、ウインカ−とブレ−キの系統が一緒になっている車の尾灯は、ブレ−キをふんだとき、ウインカ−の出る方は点滅の滅の時、赤くつかないのである。だから実際にはまがる方とは逆の方だけ赤くつき、後車は当然その方向にまがると判断することになるのである。

 ここに一瞬の判断のあやまり、それも後続車にとっては当然の判断が間違っていたとは。それが大事故につながっていたのではないだろうか。私が前の車自体が欠陥車ではなかったかと推理する意味はここにある。

(毎日新聞;読者の広場 ,昭45.11.17.)

もとへもどる