エコ−

 

 英語が達者のある友人に、「最近外国でこういう仕事が発表されている」といったら、即座に彼は「あれは先生の−仕事の−エコ−ですよ」と答えた。なるほで”エコ−”という言葉をそのように使うのか、と感心したのだが、自分の仕事を認めてくれた彼の言葉は嬉しかった。

 自分のアイデイアといっても、今までに多くの先人達の仕事をみたり、聞いたり、読んだりしているのだから、どれが本当の自分で考えたことなのかは、厳密にいえばわからない。しかし自分の胸に手をあててよく考えてみれば、それは自分のものなのか、他人の考えたものなのかは、わかるのではないか。人の考えをもらったのなら、そのことを明示しておくべきものだと思う。オリジナルは尊重したいものだ。

 同じエコ−でも最近流行のエコ−がある。風呂場で歌をうたうとひびきがよく、調子がよいのと同じで、エコ−つきのマイクを用意して、カラオケ人種にサ−ビスしてくれる。しかし、いくら調子にのっても、所詮は本物にはかなわない。

(日本医事新報,2883,94,昭54.7.28.)

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