はしがき

 

 「」とは文章中の一区切りとある。川柳とか短歌などと云うとそれに命をかけている方々に申し訳けないから「句」とした。だがほんの短い言葉に凝縮された「文章」は人の心をうち、いつまでも心に残る。「腹八分目」などは小さい時から心にあって、それでいて「養生」になる言葉である。「腹八分 グルメは六分」と云えば現代養生訓になる。なぜ現代養生訓になるのか。そこで現代医学の研究業績に従ってその解説をしてみたいと思った。どうしてかと云うと私は保健衛生の専門家といってもよい者だからである。

  「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」(An apple a day keeps the doctor away)は欧米で古くから云われている格言である。何故そうなのか。 私のような科学者はそれを知りたいと思った。 たまたま青森の津軽のりんご地帯で研究するようになったのがその謎ときのきっかけであった。その学問的な証拠についての研究業績をまとめて「りんごと健康」として出版した。

  かって、いや現在でも「人間は一日十二グラムから十五グラムの食塩がどうしても必要である」「食塩を摂らないと命がもたない」と本にある。自分の研究からみてそうは思われない。そこで世界中の研究をまとめて「食塩と健康」として出版した。現在は食塩はできるだけ少なく、一日五グラム以下にしたらどうかと国際的に考えられるようになった。科学的研究によってこのように考えられるようになったのである。

  今度は健康全般についての「句」を現代医学の知識をもとに解説しようと思った。私は今青森県で行われている「生き生き健康県民運動」の推進委員会の委員長である。「句」は覚えやすく、よく記憶される。その「句」の解説が健康についての正しい知識を得ることにつながり、健康に役立つとしたらこの上なく良いことだと思う。            

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