保健所に医師はいらないのか

 

 「保健所長は医師でなければならない」「医師資格ははずせないか」と論議されている。

 昭和三十二年医学部の衛生学の教授として県の保健所の医師にたいしての給与体系について今日と同じ題で「投書」したことが思いだされる。

 「この給与のとりきめのはね返りは、県民の健康レベルの低下として現われてくることは明かである」という主旨であった。

 戦後県の衛生部長は「医の技官」でなければならい時代があったが、それがかわり「公衆衛生のたそがれ」がいわれた時があった。

 昭和十二年「保健所法」が誕生して以来いろいろのいきさつがあり経過してきたし、時代とか健康問題は変貌しているから、名称そのものは変わってしかるべきものと思う。がしかしその中で専問技術が尊重され、その権限と責任とそれ相当の給与が必要と思う。「健康」について「素人」の「所長」が「権力」をもち、「給与」が自分より高いところへ、一生の職業として、「医師」の免許を持つ人才があつまるであろうか。

 かつて私の同僚が代議士として国政に参加したとき、時の総理から「先生のような専問家のご意見と」もちあげられていたが、実際にその意見は採用されたであろうか。

 厚生省百年の歴史のなかで、政治家は厚生大臣にはなりたがらなっかたことが記録されている。              (8-8-3)

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