カラヤン指揮の秘伝 Part2

カラヤンの基本ポジション

カラヤンの指揮の基本ポジションは上の写真からおわかりのように「前屈み」です。
昔から言われていたことですが、カラヤンが目を閉じて前に屈む姿勢に、多くのファンはカラヤンの個性を感じ、魅力を感じたのでした。
96年までベルリンフィルの代表でもあり、コントラバスの首席奏者だったツェッペリッツさんから伺ったことですが。ベルリンフィルは、当初カラヤンのこの目を閉じる指揮に大変当惑したそうです。
カラヤンは前任のフルトヴェングラーを、かなり意識していたと思います。

フルトヴェングラーは大柄で、のけぞって指揮をする典型的なタイプでした。小柄(165cmはなかったかも知れません)のカラヤンはその前任者と同じように指揮をするわけにはいかなかったのです。

しかし私がカラヤンの所にいた80年前後、カラヤンはすでに腰の病をもった70歳を越える老人でした。当然のことながら平行感覚も衰え、目をつぶって指揮台に立つことはありませんでした。
そして権力も威厳も十分にあり、オケの前で肩肘を張る必要はなかったのです。

そういうカラヤンの指揮で私が最も感激したのは、リハーサルの際、指揮者用の椅子に腰掛け、指揮をする姿でした。

かたくなまでに練習場に他人を入れなかった、カラヤンの練習の姿が一番すばらしかったとは皮肉でした。


指揮棒は添え物

指揮者には大きくわけて、指揮棒を意識して利用している人と、指揮棒は添え物くらいに考えている人がいます。
見分け方は、指揮棒の先端を意識して使っているか、あるいは指揮棒を持つ親指と人差し指の接点を意識しているかで区別します。
トスカニーニは長尺の指揮棒で有名でしたし、クライバーやアッバードが指揮棒を活かして指揮をする典型です。
それに比べて、カラヤンは指揮棒の先はあまり意識していませんでいた。
同じように指揮棒の先を意識しないテクニックに、日本の斉藤秀雄のメソッドがあります。私も、打点を親指と人差し指の接点でつくるように習いました。
どちらがいいとか、悪いとか言う問題ではありません。
カラヤンの一番得意(私が勝手に思いこんでいるのですが)な指揮は、指揮棒を持たないでコーラスを指揮するときだったと思います。
第九は指揮棒を持ちますが、ミサ曲などは指揮棒を持たずに指揮しました。
これが本当にすばらしい!!
私がカラヤンの心を察するに、コーラスは楽器を持っていない、その人を指揮するのに、棒はじゃまだ!心と心の間に物はいらない・・・
アマチュアの指揮者で、もしも自分の指揮に悩んでいる方は、一度指揮棒なしで指揮をしてみて下さい。そして演奏している仲間に聞いてみて下さい。
案外、ずっといいよ!!と言われるかもしれません。


指揮とバレー

カラヤン指揮の秘伝、最後のティプスは「バレー」です。
極秘情報?カラヤンと同年代のベルリン在住のバレー教師から聞いた話で。
カラヤンは若い頃バレーを習いにきて、それを指揮に応用したそうです。
確かに音楽と動きがもっとも一致しているのは、バレーです。さすがカラヤンは目の付け所がいい!!と感心しました。


カラヤン指揮の秘伝は今回で終わりです。

巨匠の思い出カラヤンはこちら。


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