この文章は、2008年8月20日笹川平和財団で行われたマチャヴァリアニ駐日グルジア大使の講演を、できるだけ多くの方に知って頂く目的で、日本グルジア文化協会が簡易的にまとめたもので、大使の正確な声明文ではありません。引用は許可しますが、出典は明記してください。また内容に疑問がある場合には、直接グルジア大使館にお問い合わせ下さい。この件に関するお問い合わせはこちら


イヴァネ・マチャヴァリアニ駐日グルジア大使
声明:

本日はご出席ありがとうございます。私の声明は短いものにさせて頂き、その後、皆様からのご質問にお答えしたいと思います。現地での状況は、刻々変化しており、正確に情報収集することは困難です。私は4月にみなさんにグルジアの現地の状況を説明しましたことをおぼえています。またNATOのサミットにおいて、加盟への行動計画を頂けるかと楽しみにしていましたが、それはかないませんでした。そのときロシアはグルジア進攻の準備を進めていた訳ですが、その危険性について喚起したにも関わらず、残念ながらだれも真摯に受け止めてはくれませんでした。ロシアのKGB出身の指導者は、グルジアだけではなく、全ての西側の自由社会に対して挑戦状を叩き付けました。グルジアは現在ロシアの残酷な軍事占領下にあります。これは独立した自由国家であるグルジアを破壊しようとするものであります。ロシアはグルジアのNATO加盟を強く拒んできました。そして、それを罰する目的でこの攻撃が行われたのです。それは、地勢上重要な黒海とカスピ海に挟まれた地域への西側の影響力排除ということです。
今回の戦争を始めたのはロシアです。ロシアはプーチン首相とメドベージェフ大統領の指導の下、第58軍戦車部隊の2万人の兵力と500台の戦車で、グルジア国内に侵攻してきました。また、グルジア全土で激しい空爆を行いました。グルジア軍はこのロシア軍に進攻に対峙しなければなりませんでした。明らかな事は、ロシアのいうところの「平和の実施」と呼ばれる、グルジア侵略のまやかし計画です。ロシアは2000年から、南オセチアとアブハジアの住民に対して、ロシアのパスポートを、グルジア政府の了解なしに配りました。そして、このロシアのパスポートを持つ人々の安全保護という名目で、ロシア軍が大挙してグルジアに進攻しました。ロシアの攻撃の目的は、グルジア軍だけではなく、民主的に選ばれたグルジア政府の転覆、そしてグルジア経済の破綻です。石油パイプラインは停止し、グルジアを東西に結ぶ幹線道路と鉄道は破壊され、また黒海に面したポチ港への激しい攻撃と封鎖により、グルジア国内の物流、人の流れは寸断しています。ロシアは国連憲章や国際法、そしてその国の主権を無視してまでも、ロシアと国境を接する国々が西側寄りになることを止めたいということなのです。ロシアは、南オセチアとアブハジアなど近隣の分離派に協力して、国境線を変更しようとしているのです。今回のロシアのグルジア侵略のような行動を防がねば、ロシアと国境を接する、バルト三国、ポーランド、ウクライナ、コーカーサス地方、そして中央アジアの諸国にとっても安全保障上の大きな脅威となります。ウクライナには800万人、中央アジア、カザフスタンには450万人、ボルガ諸国には150万人のロシア人が住んでいます。ロシアは3万人のオセチア人にロシアのパスポートを渡し、そして彼らを保護するという名目で、今回の侵略を行いました。これは我々にとっても、それらの諸国にとっても非常に危険な状態であります。また、ロシアと西側諸国、特にアメリアとの関係悪化が問題となっています。
ロシアの事実上の支配者であるプーチン首相は、新しい多極化した世界の最強国としての支配者になりたいという野望を抱いています。そして今回のグルジアの事件は、このテストケースなのです。ロシアは今回のことで、西側がどれだけ耐えられるかを試そうとしています。ロシアは今日の世界秩序を変えようとしているのです。それゆえ権力的な、攻撃的な態度を続けているのです。ロシアは非民主的な権威的な国であり、元KGBのリーダーであるプーチンによって指導されている国です。そしてその軍事的な脅しで、周辺諸国の民主化、自由化を阻止しようとしているのです。今回の停戦は、フランスのサルコジ大統領やアメリカのブッシュ大統領、そしてグルジアの領土と主権、自由を守ろうとする人々によりもたらされましたが、まだまだ不十分なものです。
反動的な、独裁的な、攻撃的なロシアの指導力が台頭して、西側の基準とは異なった、新しいルールを設定しようとしています。これこそが我々が最も懸念をすることです。ロシアのアプローチの方法は、20世紀に起きた、二つの大戦と全く同じであり、何千万人という命を奪った行動を忘れる訳にはいきません。日本はグルジアの平和と安定を取り戻すために、もっともっと参画と支援をすべきと思います。ロシアがこのように危険な最強国として立ち上がってきていることから、我々も国際法を鑑み、どのように対処すべきかを熟慮したいと思います。


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