カスピ海ヨーグルトの謎は深まる!
2005年6月、帯広畜産大学の荒井威吉教授から最新の研究成果が寄せられました。
それによると、こちらのHPで紹介しているカスピ海ヨーグルトのスメタナ由来説はどうやら間違いのようです。今後のさらなる研究が待たれます。
■スメタナはカスピ海ヨーグルトのルーツではない?
昨年9月,モスクワ・サンクトペテルブルグ・ウラジミール・セルギエフパッサードなどを回り,各地の生鮮市場で農家で作っている「自然発酵乳のスメタナ」のサンプルを収集しました。ロシアのスメタナは粘性をもたない発酵クリームですので,カスピ海ヨーグルトの粘性のある形状はしていませんでした。まだ正確な乳酸菌叢は調べていませんが,粘性物生成能のある乳酸菌は含まれていないと思われます。1昨年の秋に帯広畜産大学を訪れたグルジアのNino Chanishvili先生は,カスピ海ヨーグルトの粘性の高い形状をみて,スメタナの形状と似通っていたため,「スメタナであろう」と示唆されたのだと思います。ロシアの自然発酵乳スメタナのサンプル収集を行い,若干の微生物学的検討を加えた段階ですが,私たちの1昨年に出した「カスピ海ヨーグルト」のルーツは「スメタナ」の可能性が高いとする情報には誤りがあったと考えています。したがって「カスピ海ヨーグルト」のルーツは現在でも不明であり,謎に包まれている状態といえます。しかし私たちは,カスピ海ヨーグルトの粘性菌などの菌叢は,日本の中で北欧系発酵乳の乳酸菌などが何らかの理由で混入されて,独特なものとして作り出されてしまったのではないか?と推測するに至りました。日本では未だに「カスピ海ヨーグルト」のルーツが,グルジア系ヨーグルトまたはスメタナ系発酵乳と信じられている風潮があります。これらの正確性を欠く情報による混乱が見られることは遺憾と思いますが,その原因となる一部の情報は私たちが出したものですので,責任の一端を感じています。貴協会には,さらに現在保存しているグルジアの「マツォーニ」とロシアの「スメタナ」の菌株を用いて,乳酸菌などの菌叢を解析し,正確な情報を提供したいと考えています。