【あらすじ】
時と場所:1910年代、ザンジバル(リヴィエラの架空の町)
プロローグ オーケストラの序曲の後、劇場の支配人が挨拶する。支配人は「戦争が我々に残した教訓は何であったか?それは深刻な少子化を食い止めるために、子供を作れということなのである!」と力説する。
第1幕 第1場
「あなた、私はもう嫌です!」と登場したテレーズは男に仕える主婦生活の不満を訴え、もう少しだって夫には服従できないと歌う。そして「私は兵士に!芸術家に!議員に!そして大統領にだってなる!」という野望を大声で宣言する。闘志に燃えるテレーズがブラウスの胸元をはだけると、風船の乳房が解き放たれて、蝶のように飛んで行く。自分の乳房にしばし見とれるが我にかえり、ライターの火で風船を割ってしまう。その時「ベーコンを焼いてくれ!」と言う夫の声が聞こえる。「もう沢山!」と夫を嫌悪するテレーズに顎髭が生えだし、体に男性の力がみなぎってくる。
第2場
妻を探しに来た夫は、男になったテレーズに出会うが誰かわからず、妻を心配する。するとテレーズはもはや夫のもと戻る気は無いと告げ、自らテレーズ改め、ティレジアスと名乗る。
第3場
ドラムの連打と大きな物音、大ゲンカの最中にティレジアスは家を出ていってしまう。残された夫はがっくりと肩を落とす。
第4場
二人の賭博師プレストとラクフが入ってくる。二人とも酷く泥酔していて、自分たちの居場所さえも定かではない。一人が「俺達はパリにいるのか?」と聞くと、もう一人が 「違うよ!サンジバルさ」と答える酩酊ぶり。そして彼らは「博打で負けた!」と落ち込むでもなく陽気に歌い、さんざん洒落をとばすが、最後には決闘をすることに同意し、お互いを撃ち殺してしまう。
第5場
ザンジバルの住民達は二人の賭博師の悲劇的な死を悼んでいる。そこに現れたティレジアスは成功者として「今私たちの手に入れた自由を称賛し、議員になろう!」と熱く歌い、だらしない主婦のなりで佇む夫を残し、去っていく。
第6場
警官が登場し、決闘で命を落としたプレストとラクフの死体に気付き「犯罪の匂いがする」と歌うが、居合わせた主婦のなりをした夫に一目惚れをしてしまう。テレーズに見捨てられた夫は警官の口説きをまんざらでもなく、気を持たせて楽しんでいる。一方ザンジバルの女達は、今や軍司令官であり議員でもあるティレジアスの後に続けと讃歌を歌い、町の空には女達から解き放たれた何千もの乳房が浮かんでいる。
第7場
そんなこんなで、町の女達はとうとう全員男になってしまった。彼らは乳母など断固拒否し、熱狂的闘志を持って兵士の職務を全うすることを約束する。夫はこのままでは子供が産まれなくってしまうとザンジバルの将来を案じ、元女達が子作りを拒否するなら、自分だけで子作りをすると警官に訴える。
第8場
夕方になって、夫は軍人を家に招き、一人で子供の大量生産をするという計画に立ち合ってもらう。町の人々も夫の企みに興味津津で騒ぎたてる。
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