第2幕
 太守の宮殿の庭園で、その中にオスミンの住処がある。ブロンデが「女性の心を得るには、優しく親切でなくてはだめ」と、軽快なコロラトゥーラのアリアをうたう。オスミンが彼女を、自分の意に従わせようとするが、どうしても巧くいかない。「俺は行っちゃってもいいが、ペドリロの野郎を近づけるな」とオスミン、「ええ、行っちゃいなさいな、私に命令したってだめよ」と言い返すブロンデ。結局オスミンはやり込められて、あえなく退散という破目に。
 ブロンデは悲しみに沈んでいるコンスタンツェに同情して、慰め励ましするが、コンスタンツェはその悲しみをベルモンテに呼びかけ、悲痛なアリア「あなたから離れて、悲しみが私の運命になりました」をうたう。そこへ太守が姿をみせ、コンスタンツェに、もし自分の意に従わないなら、厳しい拷問にかけると恫喝する。すると彼女は、「どんな拷問が待っていようとも、私は苦しみを恐れない」と、華麗なコロラトゥーラのアリアで応える。一人その場に残った太守は、どうしてあの女は、あんなに勇気があるのかといぶかり、まさか逃亡を企んでいるのではと疑う。
 ブロンデが再び登場、ペドリロもやって来て、ベルモンテが迎えに来たから、もうすぐ奴隷の身分から解放されると、例の脱走計画を打ち明ける。ブロンデは喜んで、「何という喜び、何という楽しみ」と、明るく軽快なアリアをうたう.そしてペドリロもそれに応えて、「元気よく戦おう、尻込みするのは臆病者」とうたう。
 ペドリロはオスミンを呼び出し、用意して来た眠り薬の入った酒を勧める。「バッカス万歳、バッカスはいい男」と二重唱になり、気を許したオスミンは、酔いと眠り薬が効いて、すっかりその場で眠りこんでしまう。
 ベルモンテはコンスタンツェとの再会を喜び、「喜びの涙が溢れるとき、愛は恋人に優しく微笑む」とアリアをうたう。これは四重唱に発展して、これまでの経緯に触れて、ベルモンテは太守とコンスタンツェの関係を、ペドリロはブロンデとオスミンの関係を、それぞれ疑ったりもするが、疑いを持った男たちが許しを乞い、女達は許して、音楽互いの愛を確認して幕になる。
(C)出谷 啓
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