【あらすじ】
時と所:20世紀初め・ドイツのとある都市、パリ、及びロンドン
<プロローグ>
 猛獣使いが現れ口上を述べる。登場人物たちを各種の動物に例えて紹介し、最後にピエロの姿をしたルルが運ばれてくると「ここにいる蛇はとても恐ろしい蛇です。猛毒で人を殺し、常に災いをもたらすのです!」と言い幕が開く。
<第1幕>
第1場/アトリエ
 医事顧問官ゴル博士の妻ルルが、ピエロの衣装を着て絵のモデルをしている。キャンバスを前に筆を握る画家ヴァルターの背後には、婚約者の肖像画の出来具合いを見に来た、新聞社の編集長シェーン博士が座っていた。シェーン博士がルルに向かい「ご主人があなたと一緒にいないとは珍しいですな。」と言うと、ルルは意味ありげに「間もなく主人もくる頃ですわ!」と答える。何気ない会話を交わす2人だったが、実はルルは、昔シェーン博士の情婦だった。美しいルルは、どんな男も夢中にさせる魅力を持っている。そこへ博士の息子で作曲家のアルヴァが、博士を迎えにやって来た。アルヴァはルルに「今度は私の作品の主役もお願いしたいな。」と言うと、父親の博士と共に部屋を出ていった。ルルは立ち去るシェーン博士に「婚約者の方によろしく!」と声を掛けた。
 アトリエにルルと2人きりになると、画家のヴァルターは妖艶なルルの姿に自分を抑えきれなくなり、我を忘れて迫りだした。モデルの間は片肩を出し、誘うような仕草をしていたルルも、追って来るヴァルターからはふざけるように逃げ回る。しかし倒れ込んだところをヴァルターに伸し掛かられ、ルルはすぐに観念した。2人がそのまま抱き合いキスをしていると、扉を叩く音がする。ルルの夫ゴル博士が、扉に鍵が掛かっているのを不審に思い激しく叩いているのだ。とうとう扉を壊してアトリエに入ってきたゴル博士は、自分の妻と画家が抱き合っているのを見て激墳し、興奮の余り心臓を押さえるとその場に倒れ込んだ。驚いたヴァルターは博士に駆け寄り「医者を呼ばなければ!」とうろたえるが、妻のルルは「もう手遅れなんじゃない?これで私はお金持ちになるわ。」と平然としている。そんなルルの姿を見て、背筋の凍る思いがしたヴァルターは「死んだお方よ、あなたと代わりたい! Ich moechte tauschen mit dir,du Toter!」と歌うが、着替えにいったルルが「背中のホックを留めてちょうだい!」と露わになった真っ白な背中を向けると、やはりその魅力には勝てず、吸い寄せられるようにルルの元へと向かった。

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